2025年も始まり、例年よりも長かった年末年始休暇に未練を残したまま、学校や職場に向かった人も多いことだろう。年に数回ある連休の中でも、年末年始のぬくぬくとした雰囲気から、シャキッと社会に戻ることが何より難しいと言っても過言ではない。
そんな時に観てほしいドラマは『エミリー、パリへ行く』だ。本作では、アメリカのシカゴにあるマーケティング会社で働いていたエミリー(リリー・コリンズ)が、フランス・パリに転勤することになり、憧れの街に心躍らせてやってくる。しかしフランス人ならではのジョークや、仕事とプライベートを明確に分けることなど戸惑うことばかりで、イメージとは少し違う生活が待っていた。
「セックス・アンド・ザ・シティ」の製作陣が関わっていることもあり、恋愛が主軸となったストーリーラインや、奇抜なファッションやメイクが特徴的な本作。筆者はそんな煌めく世界にも魅了されたが、何よりエミリーの仕事に対する姿勢とメンタルに引き込まれていった。本記事では昨年夏に配信開始されたシーズン4を中心に、エミリーの超ポジティブな仕事術を振り返りたい。
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シーズン4では、エミリーはパリで出会ったシェフのガブリエル(リュカ・ブラヴォー)とイギリス人のアルフィー(ルシアン・ラヴィスカウント)の狭間で揺れながら、ガブリエルの元カノで親友のカミーユ(カミーユ・ラザ)との関係性にも悩んでいた。どれだけ悩んでいても、SNSで炎上しても、しっかりと出勤して職場では落ち込んだ姿をあまり見せない。むしろその経験を糧にアイデアを生み出してしまうのがエミリーのすごいところだ。逆に言えば、休暇中もアイデアが止まないちょっと仕事中毒な一面もある。
さらにシーズン4では、エミリーの上司シルヴィー(フィリピーヌ・ルロワ=ボリュー)の夫の隠し子ジュヌヴィエーヴ(タリア・ベッソン)がニューヨークからやって来て、エミリーと同じ会社で働くことになる。エミリーとジュヌヴィエーヴはアメリカ人同士で意気投合。彼女はエミリーの仕事ぶりを見て「私の目標が決まった!あなたよ」とワクワクした面持ちで話す。(その後、不穏な空気が流れるのだが……)
そうやって人々を魅了するエミリーの仕事ぶりは、具体的には会社でのプレゼンテーションのシーンに凝縮されているように思う。シャンパンや化粧品など、様々な商材に対して、奇抜で魅力的なPR案を打ち出していくエミリー。パリに来たばかりの頃も、フランス人の同僚たちに臆することなく発言していた。きっと筆者なら「まずはお手並み拝見……」と一旦やりとりを見学させてもらうだろうが、思ったことをすぐに口に出すことができるエミリーの気概には脱帽した。
エミリー以外にも同僚のリュック(ブリュノ・グエリ)やジュリアン(サミュエル・アーノルド)のプレゼンテーションからも学ぶべきことが多い。エミリーほどの斬新なアイデアがなくとも、Power Pointの明瞭さや立ち振る舞い、話の惹きつけ方などで人を魅了することができるのだ。また劇中では、エミリーが経験したことや周りの人が発した言葉一つ一つがアイデアになっていくため、生活の中で何かいいアイデアを取りこぼしてしまっているのではないか、と思わず自分の今までを振り返ってしまうだろう。
フランス語で話せとフランス人から嫌味を言われようと、出しゃばって獲得した仕事で大失敗をしようと、エミリーが落ち込むのは一瞬だ。どう挽回しようかと考えるのではなく、英語であろうとコミュニケーションを取ったり、新しい案を出したりすることで、相手からの信頼を勝ち取っていった。それはエミリー自身の才能であり、性格でもあるが、失敗したらやる気をなくしてしまいがちの筆者は、少しでもエミリーのような心と誠意を持って何事にも挑みたいと思わされた。
また、職場に行くだけだからとファッションやメイクを疎かにするのではなく、職場に行くからこそ着飾って自分のメンタルを底上げし、仕事にも真摯に取り組むことが大切だ。「筆箱を可愛いものに変えよう」「ノートを新しくしてみよう」と学生の頃からやっていたことであり、非常に簡単なことなのに、大人になってから忘れてしまっていた。仕事をしている時間は、今生きている人生の大部分を占めるのだから、自分の機嫌を損ねることなく楽しみたい。そうすれば、周りとの関係も仕事自体も良好に、エミリーのように過ごすことができるのだろう。
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